2016年5月26日木曜日

スメルハラスメント No1


ことわざの「臭い物には蓋をする」

臭い物に蓋をして隠してしまいたい気持ちは僕も理解できるけど 根本をどうにかしないと隠したと思っているだけで 他に気付かれてるかもしれないし 臭い物がさらに増長して蓋を押し上げる場合もある

一時しのぎはダメだ 嫌でも元からどうにかしないとダメだ 蓋でもダメなら消し去りたい でも社会ではそうもできない事が多い

勤務先のカフェでもデリートしなければいけない臭い物が有る
それはこのカフェのマスターだ
 
いやいやマスターをデリートしたいと 思っているのは数人の女子スタッフであって 僕がデリートしたいのはマスターの口臭ですよ
本当に臭い その悪臭 小動物なら即死するレベルじゃないかな 至近距離なら花も枯れるね たぶん

昔に働いてた女子スタッフヒロコちゃんが店に来た 可愛い子供を抱いて マスターは挨拶がてらにヒロコちゃんの腕に抱かれた赤ちゃんを褒めた「ヒロコよく似て可愛いね!」
すると抱かれていた赤ちゃんが号泣した ホールに響き渡る鳴き声

顔を真っ赤に泣きわめく赤ちゃん うろたえるマスターとヒロコちゃん その様子を見て厨房のスタッフKがつぶやく
「アホが そんな至近距離でマスターのブレスくらったら泣くに決まってるやん 我が子大事にせなアカンわ」
そう マスターの口臭を嗅いだ赤子が大泣きした 恐るべし口臭兵器

過去に僕はマスターの口臭について女子スタッフ数人に相談された事がある その度に僕は
マスターは両親譲りの酷い歯槽膿漏で口臭は仕方ないので優しい目をよろしく」
「マスターはスカトロジーの嗜好があると噂で聞いた 皆 色んな趣味あるしね」
「話す時に息を止める練習しておくれ」
などと苦しいフォローしていた

長年マスターと仕事を共にしていると マスターと話す時に適度な距離を保ち 少し息を止めるのが自然と出来るようになる むしろ出来なければいけない じゃないとまともに会話出来ないからね

赤子をも泣かすほどのマスターの口臭でも流石に成人男性になると泣きはしない しかし直撃してしまうと軽く嘔吐しそうになる 口臭ホルダーのプロフェッショナル侮れない

うっかり厨房スタッフKは息止め呼吸をよく忘れ マスターの口臭を直撃している そして「オエッ!」と嘔吐するのを耐えている
「ヴィアン君 二日酔いの時マスターのブレスくらったら吐いてしまうかもしれへん」厨房スタッフKはゲロを吐きそうな顔で僕に弱音を吐いた

本日 厨房スタッフKは二日酔いで出勤しマスターの口臭を深く吸い込み
「オエッ!オエッ!オエッ!オロロッ!」まるで一人カエルの合唱 最後もしかして一口くらいリーバースしたんじゃないかな

厨房に漂うマスターの口臭 響き渡る「オエッ!オエッ!」のメロディ 清潔な厨房をスタッフKの嘔吐物で汚されるくらいなら
臭いの元をどうにかしないといけない

臭い者に蓋をしたら窒息死してしまうし 遠回しにブレスケアあげても飲まないし もうストレートに口が臭いと気づかせてあげるしかない
マスターの心が傷つこうがかまわない 僕達の鼻腔の方が傷ついてる

そう今 デリカシーの壁を越える時 僕は言葉のナイフを握りしめ
「それがみんなの為だから」と心で呟いた

2016年5月18日水曜日

ブスとチワワ


昔に僕は犬を飼っていた 茶色のシーズー犬は家族に愛されていたと思う 唯一不憫だったのは「ウニ」と海産物の名前を付けられたくらいだろう
犬好きな僕は今もたまに思い出す

愛玩動物は可愛い 癒やしさえ与えてくれる でも可愛い小動物は取り扱い注意だ

そう僕のような人相の悪い人間にとっては 子犬と戯れる僕 絵面が駄目だ 極悪フェイスが満面の笑みで子犬を抱く ムツゴロウスタイルでナデナデ そんなシーン誰かに見られてたら洒落にならない
Imagine 濃い悪人顔の僕が可愛い子犬とじゃれ合う姿 ジョン・レノンもびっくりだ いや やはりImagineしないでください

愛犬ウニと仲良く戯れる僕を見て 母親は言った「あんた そんな顔して・・・・」と言葉途中に大笑いした 子供に泣かれる様な顔の僕が可愛い子犬と遊んでも良いじゃないか そしてこの顔に産んだのは貴方だ 製造元にも嘲笑われるなんて
 
可愛い子犬は取り扱いが難しい 極悪フェイスの僕とセットならシュールな絵面で肉親にまで辛辣な言葉を投げかけさせる


僕は職場のカフェまでの通勤路 親友ヤマちゃんの美容室の前を通り通勤する
厨房で労働と社畜のダンスを踊りきり クタクタで帰路に着く時に美容室の駐車場で立っている女の娘をよく目撃する

僕は少し気になっていた それは可愛い女の娘だからではなくて 二度見するくらいの不美人だからだ
その女の娘は30歳手前くらいでケバケバしい化粧で小太り 可愛いチワワを抱いてよく立っている 駐車場で友達を待っているのか可愛いチワワの散歩なのかわからないがよく見かける デブでハデな服装だから目につくんだよね

僕はチワワを抱いた香ばしいクリーチャー娘の事をヤマちゃんに訊いてみた それは店の横に住むウラノさん家の一人娘だそうで 店の駐車場をよく待ち合わせ場所に使っているそうだ

ヤマちゃん 彼は不美人に容赦ない男の一人だ ヤマちゃんは熱く語りだす「ブスが子犬を抱く行為」について少しの怒りをのせて

「ブスが子犬を抱いては駄目だ 子犬の可愛いらしがブスをさらに醜く映す 可愛さと醜さの落差がブスを全面に押し出す 主張するブスは嫌いなんだ ブサイクに可愛いメイクをするほど残酷なものはないだろう?それと同じさ 可愛い子犬を抱く自分を客観視できないブスは僕をイラッとさせるんだよね」
ヤマちゃんは少し間をおいて 決め台詞のように大声で吠える

「ブスは可愛い子犬を抱くな ゴミ袋持ってろ!」

無茶苦茶である ブスであろうが子犬くらい抱いたって良いじゃないか ゴミ袋を抱いてる方が問題あるだろ
本当に可愛い愛玩動物は取り扱い注意だ
心ない迷言さえ飛び出してくる

さぁ僕は何を抱けばいい?