お好み焼きにたこ焼き 関西人なら好きで当たり前なイメージがあるかも知れないが 僕は「粉もん」といわれる食べ物が苦手だったりする
近所のお好み焼き屋さんに行くのは知り合いとの付き合いで行くく
そのお好み焼き屋にめったに行かないのは「粉もん」
宇野さんは小柄でアルコール中毒のおっさんだ 宇野さんは真っ赤なお鼻のアル中さんで いつもみんなの厄介者 酔っ払い アルバイトのオバサンに下品な言葉を投げかけ 店内で豪快に股間を露出する
ちっさいおっさんの小さいペニスを見ながら 誰も食事を食べたがるはずはなく 宇野さんのせいで客足が遠退いていった
股間を放り出そうとする宇野さんに毎回 店のママは激怒し怒鳴りつけ宇野さんを出入り禁止にしていた
宇野さんはママの優しさにつけ込み 出禁にされても無理やり店に訪れていた
ママは宇野さんの事を半ば諦め
「あれは妖精や 見えんふりせな仕方ないわ」と嘆いていた
そして僕らも騒ぐ宇野の妖精を見えないふりをしていた
でもやはり いたずら妖精が見える人もいるらしく 店内でいたずらが過ぎた宇野の妖精は見える人に退治され 駐車場横の側溝に口から血を流し挟まっていた時もある
「宇野さんはね あの年になっても独り身やし親も亡くなって寂しいんやろね」
僕は知っている 少し離れた居酒屋で妖精宇野とばったりと出会った時 強面の大将に臆して騒がず露出もせずに行儀よく熱燗を呑んでいた
僕の妖精に対してイメージは果てしなくダーティなものになった
勤務先のカフェに行くと女子スタッフ アイちゃんは「悩み事があります」と僕に言った アイちゃんは目の鋭いキレイな顔をした主婦だ
夫婦仲も良いはずで子育ても何も問題あるはずもないのに 何に悩んでいるのだろうと思った
アイちゃんを悩ませるもの それは「美輪明宏」
事の発端はアイちゃんの小学生になる子供の発言からだった
「あの人なに?」
好奇心旺盛な子供はテレビに映った オレンジ色の長髪でドレスを着た人を指差し言った
テレビに映ったその人は美輪明宏さんだった
アイちゃんは困った 「この人だれ?」と訊かれたなら「美輪明宏さんだよ」
これは難しい 僕の中で三輪さんは雌雄を凌駕した存在と認識しているし 隠れ三輪さんファンな僕は映画「黒蜥蜴」も観たし書籍「
それがまして小学生の子供に三輪さんの存在を説明するとなると不
「僕は三輪さんの事を子供に語るのは無理かな アイちゃんは子供になんて言った?」
「私もう子供も小さいんで三輪さんの事 あれは妖精 人ではなくて妖精と教えました」
ええっ なんてスピリチュアルな答えだ 雌雄を凌駕なんて小さい 三輪さんは人ではなくなっていた
小さい頃の母親の教えは絶対 アイちゃんの子供は三輪さんの事を妖精と思っているそうだ
三輪さんの存在が田舎町の主婦を悩ませ 幼い子供に妖精と認知されている
三輪さんは妖精 でも宇野の妖精枠 その妖精の括りに入れるのは 違うと思う
「美輪明宏」かの御方を言葉で表す事は難しい
その存在を明確に説明出来る人はこの世の中にいるのだろうか
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