宅地開発で僕達の秘密基地は一日で更地になった 生い茂っていた草はもう無くトラロープで囲われユンボと資材と盛り土の景色に変わっていた
僕達は少し戸惑ったけど「また違う場所で秘密基地でも作るか」とポジティブシンキングだった
しかし トウゲ君だけは悲しみに暮れ泣いていた 彼は秘密基地が無くなって泣いていたのではなく 秘密基地に置いてあった宝物が無くなったからだ それは雨に濡れカピカピになったデラベッピンと弓月 光先生のチョットエッチなコミック それとさとう珠緒のヌードが載った雑誌スコラを失ってしまったからだ
夏の日の夕暮れ 赤い目をした落ち込んだムッツリスケべなトウゲ君の横顔 忘れる事は無いだろう
「俺らで大人の秘密基地作れへんか 近くでマンションの部屋でも借りてよ」
ヤマちゃんは少し顔を赤くして言った
「そうやなぁ 皆で物を持ち寄って作りたいなぁ」僕はその発案にのった
「俺 ベッド持っていくわ とりあえずこれでなんとかなるやろ」オシゲはなぜか興奮気味だ
「冷蔵庫あったら お酒も持ち寄れるしな」ヤマちゃんはノリノリだ
「そうやなぁ 皆で集まって鍋でも出来るしな ネット環境も欲しいな」鍋パーティなら調理師の僕も活躍出来る
「女の子も連れ込み出来るし 最高やな」オシゲはニヤニヤしている
そうキャバ嬢キラーと称されるオシゲちゃんは一人だけ 秘密基地をラブホテル替りに利用しようとしていた
「マンションの家賃の事なんやけど ヴィアン金ないから一万円でええよ」
焼き鳥を食べながらヤマちゃんが言ってオシゲちゃんはウンウンとうなずいた
大人の秘密基地 それは僕にとって作る前から
ありがたいやら情けないやら悲しいやら
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