2015年11月15日日曜日

続 まぶたの君


ゴダール監督の映画「勝手にしやがれ」のワンシーン 主人公のミシェルが盗んだ高級アメ車を走らせている 路傍にヒッチハイカーの女性が立っている ミシェルはそのまま走り去る
 理由は次の台詞でわかる「両方ともブスだった」
酷い台詞である 可愛ければ乗せていた とも受け取れる
容姿が美しいだけでもてはやされ 心の優しいブスが冷遇されるのは何時時代も変わらない

僕の知り合いにトモちゃんという 女の娘がいてる お多福フェイスなレディーだ 下膨れなおかめフェイスは平安時代なら美しさの頂点だ 時代が時代なら蝶よ華よなのに 産まれてくる時代を間違えたね。
僕の親友Yに言わせると「後ろ姿は良いから 韓国に行って整形しておいで」だ
こんなにも失礼な言葉を投げられても 上手に受け流し笑顔で受け答えの出来るトモちゃんはたくましくて気丈だ。

トモちゃんが仕事終わりに駅まで歩いていたところ 後ろから車がゆっくり近づいて来て「なぁ お姉ちゃん どこ行くん?」助手席から声をかけられた
トモちゃんが振り向くと「アカン ブスや」心ない言葉を吐き捨て 車は走り去った
ミシェルよりも下衆な言葉 トモちゃんはヒッチハイカーでもなく歩いていただけだ 映画のワンシーンよりも酷い現実 そんな話を面白く話せるトモちゃんを僕は人間的に好きだ。

明るく優しいトモちゃんにも悩み事があった それはプックリ膨れたまぶた インファイター系ロートルボクサーみたいな一重まぶたを気にしていた
デブな女の娘に「痩せたら可愛い」のような失礼な軽い慰めの台詞のように「トモちゃん 二重にしたら可愛いって」と知り合いによく言われていた なんて上からで失礼な台詞だ
居酒屋で女友達にのせられて トモちゃんはアイプチをした ノリを塗り塗り 乾かして二重まぶたのトモちゃんがメイクアップされた
二重まぶたのトモちゃんをプリティでキュアキュアと思ったのはその場にいた友人Oだけだった トモちゃんはただ二重まぶたになったトモちゃんだった 目だけで美しさがそう振れる事もない。
トモちゃんはアイプチ化粧 即席二重まぶたを気に入っていた しかし残念かな ウルトラマンよりも早く限界がきた カップラーメンが出来上がる頃には プックリまぶたの弾力が偽りの二重まぶたアイプチ化粧を弾き飛ばし 真実の姿にトモちゃんを戻した 僕はせめてシンデレラのように一夜だけでも二重まぶたでいれるように化粧品の更なる進歩を願った。

そんなトモちゃんにもシンデレラストーリーが訪れる 友人Oとトモちゃんがお付き合いを始めた 友人Oは男前でお金持ちだ
愛嬌美人のトモちゃんが掴んだ  男前との恋愛だ 僕は性格の良いトモちゃんが嬉しそうにしているのを見て 僕も嬉しかった
友人Oはハートロッカーだ(前記事「ハートロッカー」参照)キャバ嬢キラーでもあり 爆弾処理のスペシャリストでもある 不美人という仕掛け爆弾の解除のプロフェッショナルだ
トモちゃんが仕掛け爆弾の中の一人では?等と言うことなかれ 幸せそうに笑う彼女に誰がそんな言葉を投げ掛けれようか。
友人Oにはパワータイプのライオネル飛鳥系彼女がいてるのでは?等と詮索は禁物だ そんな事知らない 長い恋路への始まりだ 全ては愛 その一言でうまく収まる。

まぶたの君よ 祝福あれ。

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