2017年8月17日木曜日

遺伝子整形


会った事のある人なのだけど 見た事がないような不思議な感覚 そんな子連れの女の人が来店した
僕はその女性を知っている 僕が高校生の時 教育実習生で国語を受け持っていた「ナカニシ 先生」だということを かなりインパクトのある顔だったので明確に覚えている
明確に覚えているはずなのにナカニシ先生が来店した時 見ず知らずの女性の様に感じたのは 有るものが無かったからだ

 一度見たら忘れないパンチの効いたナカニシ先生の顔面は下顎の両サイドがパンパンに張っており ソリッドに角張っていた
エラ張りナカニシ先生
角張過ぎる教育実習生ナカニシ先生は
「エラリアーノ」
「4頭身」
「将棋の駒」
「ホームベー子」
「片桐先生」 など教え子に直ぐに2つ名をつけられていた
ワイルドでソリッドな顔面のナカニシ先生は肉食系エロスの持ち主で クラスメイトのキヨテル君と恋仲になり童貞を喰らい 夜な夜なファックを繰り返していた
青少年保護育成条例を違反し 淫行という名の夜の課外授業
性欲の強い不美人なナカニシ先生は性に対しても教育熱心な人だった
同級生と淫行し常人の2倍からあるエラを持つ 行動も顔面もダブルインパクトのナカニシ先生を僕が知らない女性の様に感じたのは年月ではなくエラが無くなっていたからだ
ソリッドなエラがさっぱりと無くなっていた 「美容整形」凄いぜ医療の進歩 まるでマジシャン 

エラが無くなり 子供と一緒にフォンダンショコラを食べるナカニシ先生は幸せそうに見えた でも エラが無くなったところで美しさには程遠かった
そして 隣に座る生き写しの様な娘は 角張ったエラを受け継いでいて 丈夫な顎でガリガリと氷を噛み砕いてる
ユニークな顎の遺伝子は更に強靭になり引き継がれていた 

不美人が美容整形をしてもノーマルに近づくだけだし 大金をかけ容姿が美しくなろうが中身は変わらない 人間は中身ですよ
僕はいつも愛嬌美人の時代が来る事を願っている
 願っているし待っているだけ 遺伝子レベルで整形出来る輝かしい未来の進歩を待っているだけ 
と 云うのは嘘で私はコンプレックス有る容姿で仁王立ちして ありのままの姿で整形ブームの流れに立ち向かってる 辛いだろ?無理すんなって?
気にしない 気にしなーい!

2017年5月14日日曜日

天上テンガ唯我独尊



「古き良き物」語れるほど長くは生きてないけど先人が作った物に惹かれる事はありませんか?
昭和テイストのポスターやレトロな飲料水の瓶 小さな物でもその時代の造形や色使いに心を惹かれる事はありませんか?

僕はクラシックカーに心を惹かれ  初めて購入した「シトロエン2cv」若かった僕は車の維持は大変だったけどキュートなフォルムに今だ愛着がある
ブラウンメタリックに塗装したお気に入りだった80年型角目4灯のクラウンは豪華な内装で最高だったけどクレイジードライブで廃車になった やっぱり僕ですね Ya-Ya-Ya-Ya-yah!

僕が自信をもって皆さんに薦めれる「古き良き物」が1つある
それは代々木忠(ヨヨチュウ)監督の作品です

ヨヨチュウと呼称される代々木忠監督はAV業界の雄だ 出演する女優さんを完璧にオルガズムに達する事の出来る偉大なる人だ 
「ザ・面接」シリーズを一度観ていただきたい 今でも続いてる人気シリーズ 「アテナ映像」お薦めです
自信をもってお薦め出来る古き良き物がアダルトビデオとは まぁ僕らしいからいいか

「温故知新」で時代は流れていく「古き良き物」から産まれる「新しき良き物」も遅かれながらに見つけました それはTENGAです  
まぁオナホールといわれる自慰グッズなんですけどね
「ヴィアンに届けておくれ アレは良い物だ」とマ・クベ風に田舎町のスナックのホステスから僕はテンガをいただいた ホステスからのプレゼントがテンガ これは軽く僕の事を馬鹿にしてますよね

そして馬鹿にされていると理解しておきながらTENGAを使用する僕は大馬鹿者です
もっと早くに使用してれば良かった テンガの快楽の余韻に浸りながら使用済みのテンガは可燃ゴミなのか?不燃ゴミなのか?とクールダウン中に考えるエロノミストな僕はテンガの素晴らしさを親友ヤマちゃんに熱く語った

「遅いよ!発売してから何年経ってると思ってんのヴィアンよぉ!
ヤマちゃんはすでにテンガに魅了された男の一人だった
ドロンパカラーの快楽の穴のヘビーユーザーなヤマちゃんは洗って再利用出来るテンガ「フリップホール」なる物まで所持していた

ヤマちゃんはアレルギー体質で「蕎麦アレルギー」「海鮮アレルギー」「喘息」に「金属アレルギー」とデリカシーの無い心の持ち主とは裏腹にデリケートな体質をしている
テンガ愛好家のヤマちゃんは新たなるアレルギーを発見した
それはラテックスアレルギーなのかゴムアレルギーなのかよくわからないがテンガを使用した後 男性器がかぶれる

しかしテンガ愛のあるヤマちゃんは局部に蕁麻疹が出て痒みに襲われようがテンガを使用し続けている

「新しき良き物」に魅せられた男は炎症をおこした股間の痒みに耐え 快楽に溺れてる
たぶんボトっと落ちるまで続くね ジーク!テンガ!

2017年4月23日日曜日

地獄のタオル



地獄に落ちる夢をみた まさに阿鼻叫喚 背中から足の裏までに汗びっしょりで目覚めた昨日の朝
閻魔様に下を抜かれるくらい嘘はついてきたし悪業を重ねてきた僕は地獄行きだと自覚しておりますが 綱渡りライフの現世なんだ 夢くらいはエロティックな夢を見させてほしい

怖い夢を見て洗面所 寝汗でびっしょり青い顔 寝癖で歯磨き むくんだ腫れぼったい目で眺める鏡に移る中年ヴィアン これもまた地獄絵図


幼い頃に読んだ絵本や童話 「ねないこだれだ」「ぐりとぐら」「おしいれのぼうけん」
子供の頃によく見た前「日本昔ばなし」
読んだり観たりしたとは認識してるのだけれどユルユルな僕は物語の結末をすっかりと忘れてしまっている
お尻をだしたら一等賞にはならず でんでん でんぐり返って社会からバイバイ バイ お家には帰れない中年男性に成長した僕も結末を覚えている話があ
それは「蜘蛛の糸」と「地獄の人参」
共によく似た話で地獄をテーマにしている 幼い時の地獄に対する恐怖からか罪深き僕の終の場所への暗示なのか鮮明に覚えている

「蜘蛛の糸」は芥川龍之介の作品なのでご存知の方が多いと思いますが「地獄の人参」は日本昔ばなしの作品で昔にあくどいお婆さんが死に地獄に落ちた所から始まる 
お婆さんは極楽に行きたいと閻魔様に交渉する 生前おこなった善行それは托鉢僧に腐った人参をあげた事 地獄に出現した腐った人参にすがれと閻魔様は言う お婆さんが腐った人参を掴むと極楽へ浮かび上がる 極楽へ登っていると地獄の亡者達もお婆さんの足を掴み極楽へ行こうとする 沢山の亡者達の重みで腐った人参が崩れるとお婆さんは思い 亡者達を蹴り落とすとお婆さんの持っていた腐った人参も崩れ お婆さんは地獄に落ちていく 業突く張りな性格のお婆さんはやはり極楽へ行けずに地獄に逆戻りする

悪人は極楽には行けない 悪い心なかぎり極楽には行けない
死んだら地獄行き予定の私めは地獄に落ちてもすがりたいし足掻きたい 極楽から降りてくる蜘蛛の糸のようなワンチャンスをもらう為に人に施した善行をダーティな過去から探してみた

僕にはジュン君という知り合いがいる  
彼は焼き鳥屋チェーン店で20年間アルバイトのポジションで居座り 仕事への愚痴をぼやき続ける中年男性だ
ジュン君は蝶結びが今だに結べない頭脳の持ち主で人から驚かれるような肌の汚さをしている「茶色く汚れた軽石」や「青カビの餅」や「乾燥した雑巾」を想像して頂くと汚い肌をイメージしやすいと思います
おまけにチビでハゲで小太りなジュン君は悲しいスペックでこの世を生きている たぶん前世で相当な罰当たりな行為を働いてるね
しかしジュン君は明るく性格が良いので友人が多く人気者だった

「ヴィアン呑みに行こう!」ジュン君からお誘いがあり アルバイト先の焼き鳥屋に行く事になった
ジュン君は家まで迎えに来て開口一番 僕に言う
「昨日 風呂に入ってないんや ヴィアンお風呂貸してくれ シャワーで頭だけでも洗いたい」
汚い!訳がわからない そんなに急いでないのだからお風呂に入ってから迎えに来いよ 僕は渋々 小太りな汚物中年にお風呂を貸してあげた

「ヴィアーン!バスタオル貸して」数分後 お風呂場からジュン君のマヌケ声が聞こえてきた
そうだバスタオルは干してありまだ乾いていない 親友山ちゃんから貰ったイエモンのライブグッズ 大切にしている大好きなイエモンのタオルしかなかった
少しの仏心 仕方なくジュン君に貸してあげる事にした

脱衣所に裸のジュン君が立っていた 僕は驚き声が出た
「汚すぎるやろ!何よその尻は!」
ジュン君の尻は汚すぎる カビ生えてるんじゃない?汚れた茶色 薄紫の斑点や赤紫の吹き出物 不快な色のコントラストと無数の灰色クレーターでジュン君の尻は形成されている

嘔吐しそうになった 二日酔いの寝起きだったら吐いてるレベルだ
「オエッ!ちょっと待って その汚い尻をタオルで吹くつもり?ドライヤーで全身 乾かせばええんちゃうかなぁ」
僕はタオルを貸すのをためらった
「当たり前やろ なんの為のタオルや」
ジュン君は僕の手からタオルを奪い取り身体を拭き始めた

あぁ死んだ
吐き気をもよおす尻 小学生なら泣き叫ぶような汚い尻を拭かれて
タオルが死んでいく
火炎放射器でジュン君の身体を乾かしたい気分さ ファイヤー!

思い起こせば地獄に落ちた時の閻魔様との交渉材料が肌の汚い小デフ中年に貸してあげたイエモンのタオルくらいしかなかった もっと善行を積めば良かった 悲しい

汚れちまったタオル 大切にしていたイエモンのタオルにすがり極楽へ登っていく事が出来るのだろうか
極楽への途中 新型ウイルスに侵された様な汚い過ぎるジュン君の尻を思い出しながら登って行くとしたら なんかムカつく あんな尻を思いだすなんて苛々する

こんな悪心だから僕はやはり地獄行きだとブログを書きつつ再確認
ワンチャンス皆無

2017年4月9日日曜日

カミングアウト レイジビヨンド



僕は意外にも知り合いからカミングアウトされる事が多い
「真面目なサラリーマンの鬱病」「清楚な女性のリストカット事情」
「明るい女の娘の生まれの不幸」
「文学青年のバイセクシャル」など突発的に切り出される
突然の重い告白に僕の心のキャパシティは軽くオーバー 聞くだけでうまく励ます事も出来ないでいた
見かけによらずに僕のハートはおセンチですからね


僕にもまだピュアな心が残っていた高校一年生の時 放課後にコンビニでたまるカスの群れの中にいた
少し背伸びをして無糖の珈琲を飲んでいる友人のキョウスケは目の前に流れるドブ川を見つめながら僕に言った

「俺の親父はパイプカットしてあるんや」

激甘UCCの缶コーヒーを飲んでいたチェリーボーイの僕でもパイプカットの意味は知っでいる 幼い僕のパイプカットのイメージは悪徳政治家やドスケベな大地主だった
突然コイツは何故に親父のパイプカットを僕に言ったのだろうか 父親のパイプカット 精管結紮術
そのカミングアウトの疑問や衝撃 僕は今でも覚えている

「絶対に誰にも言うなよ」キョウスケは言った
絶対に言うなよは皆に知れ渡るフラグ 僕はわかったと頷き 高性能スピーカーの様に言いふらした

それから暫くキョウスケは挨拶の代わりにキットカット!のイントネーションでパイプカット!と言われていた

パイプカットお父さんは渋いダンディな顔立ちをしていた 色男ゆえに他で遺伝子を残さない様にパイプカットをしたのかは知らないが 子供達は男前な容姿とスケベ心を受け継いでいた
キョウスケは三人兄弟の次男で長男 三男とも男前で田舎町で少し有名だった
3兄弟はいい感じにグレて町工場に就職しヤンキーテイストを残しつつ田舎町に落ち着いた



先日 行きつけの和食屋の駐車場 ほろ酔い気分で代行タクシーを待っている時に街灯の下 スマートフォンを片手に大声でがなり煙草を投げ捨てる素行の悪い男がいた
パンチパーマでハンティングワールドのサイドバック 細い口髭で黒のスーツにノーネクタイ 昭和のチンピラのテンプレートな男

パンチパーマなんて10年ぶりくらいに見たなあ とジロジロ見ているとパンチのおっさんとガンのくれあい 飛ばしあいになりそうなので僕は目を落とした 面倒事はゴメンだと思っていると パンチのおっさんがギラギラの金ネックを光らせなが話しかけて来
「おう!ヴィアン!久しぶりやないか!」
パンチのおっさんをよく見ると友人キョウスケの兄 タイキ君だった 僕は驚いた
「うわぁタイキ君なにがあったんで?昭和のチンピラみたいな格好して」
パーラメントに火をつけてタイキ君は言う
「俺はなったんよ ヤクザにな」
コレはカミングアウトでもない 大体見たらわかった 30歳を越えてからの極道デビュー タイキ君はそこまでは不良じゃなかったのに知らぬ間に仁義なき道に進んで  
いた
「警察に逮捕とかされたら身内悲しむで」僕はもちろん心配するフリをして訊いた
「ヴィアン 俺はな考えてヤクザになったんや それくらいわかるよバカヤロー!」
北野映画に憧れた様な台詞をタイキ君は睨みをきかし言ったが後々聞くとタイキ君が長年努めた町工場を辞めて極道の世界に入った時 嫁は悲しみ子供を連れて家を出て一家離散したそうだ 
離婚したかったの?何をどう考えてアウトローデビューしたのかはわからねぇよ!バカヤロー!

「おっ!迎えが来たから行くわ!またなヴィアン!」
煙草を投げ捨てタイキ君は黒塗りのセンチュリーに乗り込んだ
型遅れした古びれた車 背伸びしてくたびれた高級車に乗らなくてもいいのにな と僕は悲しい気分になっていると運転手の男が僕に向かって会釈をした
運転手の男をよく見るとそれは友人キョウスケの弟 テツオだった
数年会わないうちに3兄弟の2人がヤクザになっていた
兄弟が暴力団員 厳しすぎる
身内が反社会的勢力は辛い いや一般市民の僕達にとっても怖いし辛い

あぁ 渋いダンディなお父さんがパイプカットをもっと早くに施術してくれていたならば 反社会的勢力が1人生まれることはなかったのに カットォ!カットォ!

2017年3月12日日曜日

犬ジャージ先輩



タリスカーを買いにリカーショップへ行った 市街地のはずれにあるショッピングセンターまでドライブ 田舎町なので20分くらい車を走らせてリカーショップに到着 周りには山しかない田舎町はお酒一本買うのも一苦労
リカーショップの隣にはゲームセンターが有り ふらりと立ち寄ってみた
今じゃゲームセンターと言わずにアミューズメントパークと言うんですね 十数年ぶりに訪れたゲームセンターは凄く綺麗で驚いた メダルゲームに群がる老人に戸惑いながら店内をぶらりぶらり 良いですね 今のアミューズメントパークなる物は禁煙で綺麗だしヤンキーがいない 僕の若い頃のゲームセンターはヤンキーのたまり場でしたから
でも 昼間からベビーカーを横に置き メダルゲームに没頭する主婦の群れやカードゲームを子供に混じってプレイする中年男 一定数 変な人は居てますね

僕の若い頃のゲームセンターはヤンキー達のたまり場で学生服で喫煙する奴が居たり 店内は灰皿設置で煙が充満 体にも心にも良くない所だった
時代は格闘ゲーム全盛期で現実でも灰皿や空き缶が飛び道具として飛び交っていた ソニックブーム!
昔の田舎町のゲームセンターは危険 危険
音ゲーマーの僕がビートマニアの鍵盤をバチバチ叩きながら バチバチの喧嘩をよく目撃していた

若い頃 僕が入り浸って居たゲームセンターはかなり治安が良かった それは「よっしん」という ゲームセンターの主がいたからでヤンキーよっしんはオタクやヤンキーも分け隔てなく接し ゲーセンを統治していた 優しいヤンキーよっしん 田舎町のゲーセンキングは人望も厚かった

彼は格闘ゲーマーで店の隅にある通称よっしん席 バーチャファイターの筐体に百円玉を積み上げていつも鎮座してい
バーチャファイターで僕はよっしんと何度も対戦したが一度も勝てた事はなかった
そして流石はゲーセンキング ビートマニアでも僕のスコアを上回っていた あんなにも太い指で器用に鍵盤を叩きやがる
僕が下手なんじゃあないよ 格ゲーはそこそこの腕前だし 昔のビートマニアなら全曲クリア出来るレベルだよ よっしんが上手すぎるんだ

ゲーセンキングよっしんにはゲームの他にもう一つ特技があった
それは「利き酒」ならぬ「利きシンナー」
不良のシンナー遊び よっしんはヤンキーネットワークを駆使してシンナーをかき集めていた
工場作業員から良質のシンナーを車の板金屋や塗装屋から大量にシンナーをゲットしていた
トルエンに魅せられた男よっしんはビニール袋をシャカシャカ シンナー遊びを四六時中
シンナーを3吸いもすればトルエンの含有量がわかる という「利きシンナー」をあみ出した
これは「30%やな」「これはアカンわ10%やな」「これはスリーナイン!」20歳を越えてシンナー遊びを没頭する彼はかなり格好悪かった

しかし よっしんは不美人な彼女の「トルエン駄目!絶対!」要望によりシンナー遊びをやめた
「利きシンナー」そんな特技 失った方がいい 褒められたもんじゃない 皆から馬鹿にされるだけ


近くのコンビニエンスストア 数年振りによっしんに出会った
老いたよっしんは昔より少し痩せて髪の毛の色を変えヤンキーテイストを残していた

プレーステーション4で夜な夜なバトルフィールド1のコンクエストでドンパチしている僕は中年ゲーマーの仲間が欲しくて よっしんを誘ってみた
中年スクワッドによっしんは加わると思っていたが答えはノーだっ

「私だけを見て」と彼氏に無意味な束縛や時間の共有を求める 勘違いアモーレ系彼女から「ゲーム禁止令」を通告されており ゲームをする事を禁止されているそうだ
またもや彼女からの要望により よっしんは特技を失った

4月によっしんは結婚式を挙げる予定で「もう一生ゲーム出来やんかもな」と言ったよっしんは笑顔で去っていった その背中は幸せそうに見えた 

特技を失い 愛を選んだ男の背中
その背中を眺めながら僕は「田舎のヤンキーは何故アニマルプリントされたジャージを着るのだろう ダセェな」と呟いた

2017年2月5日日曜日

知識の泉 トリヴィアン


「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」
哲学者ソクラテスの言葉ですね

無知は罪ですね と無知な僕が言ってみた
色に欲ならあるのだけれども 知に対する欲なんて 限りなく薄いブルーだし 英知なんて持つ事も出来ない 触れる事すら許されてないね
でも 哲学者の言葉を真剣に考えなくてもいいや
お腹が空いて 考えた時間を「あの時間は何だったのか?」と 哲学しなくてはならなくなるからね

遅い始まりながら 勤勉であろうとする僕は知について求めてみようと思うのです たとえ間違えた解釈だとしても
知識を求めようと数年前から田舎町のカフェの厨房で模索している

知を求めて欲した僕は過去に女子スタッフ アヤノちゃんに意見をもとめた
アヤノちゃんは賢い大学生に通っていて 高い知性を持ち おまけにFカップの乳房まで持っている

「なあ アヤノちゃん賢いやん 僕に何か知識を与えてくれないか 知らない事を埋めて賢くなりたいのよ 知の追求」
僕はアヤノちゃんの大きなオッパイを見ながら言った
「ヴィアンさんの知らない事ですか 何がいいかな」
少し考えてアヤノちゃんは教えてくれた
「私 胸が大きいでしょ 肩がこると思われるんですけど 肩ではなくて肩甲骨がこるんですよね」
さすが知性あるアヤノちゃんだ 僕が喜ぶ単語オッパイまで入れて教えてくれた
巨乳は肩甲骨がこる 新しい知識を手に入れ 僕は賢くなった 間違えたベクトルかも知れないけどね
僕は巨乳ではないので真偽のほどは分からないけど Fカップのアヤノちゃんが言う事なので嘘ではないだろう 巨乳嘘つかない


貪欲に知を欲した僕は厨房スタッフKにも訊いてみる
軽い脳を絞り出して知識を吐き出して貰おう

絞り出た知識の1滴 自信満々に厨房スタッフKは言った
「ハリーポッターの魔法でクルシーヨという魔法があり 魔法がかかると凄く苦しむ ダジャレのような魔法がある」
まさかの映画ネタ 厨房スタッフKの事だからお下品な下ネタだろうな と決め打っていた

そして厨房スタッフKを心底信用していない僕は得た情報をグーグル先生に訪ねる
やっぱりね 間違えてると思ったよ 君はいつも間違えているもの
「クルシーヨ」ではなくて「クルーシオ」だった
語感的には似ている 聞き間違えても仕方ない「イラマチオ」と「イマラチオ」くらい間違えそう
知を求めて偽りの情報に惑わされる でも間違えた情報を教えてくれた厨房スタッフKを許そうと思う 
職場のトイレで自慰行為にふけり 女子高生スタッフのサラサーティに成りたいと願う厨房スタッフK 存在が痴な人間に知を求めるなんて愚かだ 彼に訊いた僕が悪い

僕を含め ろくな人間がいない厨房 こんな場所で知恵がつく訳がないなと思っている僕の前に一人の男が現れた
その男は話を盗み聞きしていた でしゃばり野郎 このカフェのマスターだ
貪欲に知識を求める僕もさすがに下半身で物事を考え 思考回路が股間なマスターに求めるものなど何もないのでスルーしようとするしかしマスターは僕に強引に知識をひけらかしてくる

半ば無理やりマスターから教えてもらった事は
「すきっ歯は口笛が吹けない」
ええっ 自信満々で言った事がそれなの 引き止めてまで言う事かね
このカフェのマスターはすきっ歯だ3ミリほど前歯が開いている すきっ歯の方が言う事なので吹けないのだろう スキッパ!ゲローレ!
「あぁ そうなんや」
素っ気なく流し 明日の仕込みに取り掛かろうとする
「ヴィアン もしかして信じてないやろ まあ見とけって」
すきっ歯マスターの口笛実践が始まった

タバコのヤニで茶色の前歯の隙間から空気が漏れる ヒューヒュー
マスターは親譲りの歯槽膿漏で口が臭い 口臭について女子スタッフに相談された事があるほど臭い
確かに口笛は鳴っていない 空気が漏れるような音がしているだけだ
赤子を泣かすほどの口臭を持つすきっ歯野郎の鳴らない口笛
ヒューヒュー 臭っ!臭っ!
マスターの口から悪臭が漂う こんなにも酷い口臭なら口笛が吹けなくて良かったね 人を不快にさてしまう   


「巨乳は肩甲骨がこる」
「すきっ歯は口笛が吹けない」
無駄知識なんて言わないでせっかく教えて貰ったんだ 1つは偽りの情報だったのでデリートしたけど 小さな知識の積み重ねは大切

そして僕はため息を一つ この田舎町のカフェからは叡智に近づく事はない と学んだ

2017年1月30日月曜日

拝啓 美輪明宏様



お好み焼きにたこ焼き 関西人なら好きで当たり前なイメージがあるかも知れないが 僕は「粉もん」といわれる食べ物が苦手だったりする
近所のお好み焼き屋さんに行くのは知り合いとの付き合いで行くくらいだ
そのお好み焼き屋にめったに行かないのは「粉もん」が苦手というのもあるが もう一つ理由があった 常連客に宇野さんがいるからだ
宇野さんは小柄でアルコール中毒のおっさんだ 宇野さんは真っ赤なお鼻のアル中さんで いつもみんなの厄介者 酔っ払い アルバイトのオバサンに下品な言葉を投げかけ 店内で豪快に股間を露出する
ちっさいおっさんの小さいペニスを見ながら 誰も食事を食べたがるはずはなく 宇野さんのせいで客足が遠退いていった
股間を放り出そうとする宇野さんに毎回 店のママは激怒し怒鳴りつけ宇野さんを出入り禁止にしていた
宇野さんはママの優しさにつけ込み 出禁にされても無理やり店に訪れていた
ママは宇野さんの事を半ば諦め
「あれは妖精や 見えんふりせな仕方ないわ」と嘆いていた

そして僕らも騒ぐ宇野の妖精を見えないふりをしていた
でもやはり いたずら妖精が見える人もいるらしく 店内でいたずらが過ぎた宇野の妖精は見える人に退治され 駐車場横の側溝に口から血を流し挟まっていた時もある

「宇野さんはね あの年になっても独り身やし親も亡くなって寂しいんやろね」優しいママは宇野の妖精に甘かった その優しにつけ込む いたずら妖精宇野

僕は知っている 少し離れた居酒屋で妖精宇野とばったりと出会った時 強面の大将に臆して騒がず露出もせずに行儀よく熱燗を呑んでいた事を 人を選んでいたずらをするカス妖精宇野 アル中オベロン

僕の妖精に対してイメージは果てしなくダーティなものになった


勤務先のカフェに行くと女子スタッフ アイちゃんは「悩み事があります」と僕に言った アイちゃんは目の鋭いキレイな顔をした主婦だ
夫婦仲も良いはずで子育ても何も問題あるはずもないのに 何に悩んでいるのだろうと思った

アイちゃんを悩ませるもの それは「美輪明宏」稀代のシャンソン歌手が田舎町の主婦を悩ませていた
事の発端はアイちゃんの小学生になる子供の発言からだった
「あの人なに?」
好奇心旺盛な子供はテレビに映った オレンジ色の長髪でドレスを着た人を指差し言った
テレビに映ったその人は美輪明宏さんだった

アイちゃんは困った 「この人だれ?」と訊かれたなら「美輪明宏さんだよ」と答えれたかも知れないが 「この人なに?」と訊かれたので説明に困ったそうだ

これは難しい 僕の中で三輪さんは雌雄を凌駕した存在と認識しているし 隠れ三輪さんファンな僕は映画「黒蜥蜴」も観たし書籍「紫の履歴書」も読破しているが 三輪さんの事を語るのは難しい
それがまして小学生の子供に三輪さんの存在を説明するとなると不可能に近い

「僕は三輪さんの事を子供に語るのは無理かな アイちゃんは子供になんて言った?」
「私もう子供も小さいんで三輪さんの事 あれは妖精 人ではなくて妖精と教えました」
ええっ なんてスピリチュアルな答えだ 雌雄を凌駕なんて小さい 三輪さんは人ではなくなっていた

小さい頃の母親の教えは絶対 アイちゃんの子供は三輪さんの事を妖精と思っているそうだ

三輪さんの存在が田舎町の主婦を悩ませ 幼い子供に妖精と認知されている
三輪さんは妖精 でも宇野の妖精枠 その妖精の括りに入れるのは 違うと思う

「美輪明宏」かの御方を言葉で表す事は難しい
その存在を明確に説明出来る人はこの世の中にいるのだろうか 

2017年1月29日日曜日

最後のランチ



世の中は高齢化社会 世間から隔離され厨房で労働とダンスしかしていない僕にも そう感じる時がある
勤務先のカフェに年配の方がよく来店するし そして介護施設や老人ホームの月に数回ある外食イベントによく店を使ってくれる回数が増えたからだ
お昼のランチは老人ホームや介護施設の方達で客席が埋まる時もあ

顔に似合わず優しく僕は施設の方のリクエストに応え 特別に生姜焼きやサバの味噌煮の定食を作っていた
極たまに老人ホームの利用者の方がご飯を食べ終えると体調を崩す時がある
僕は「何か悪い物を提供したのかな」「アレルギーが有ったのか」等と 心配していたのだけれど
ペルパーさんが言うには持病の関係やご飯を食べ終わると体調を崩す方も多いそうだ
ヘルパーさんがいる時は良いけれど個人で来られている高齢者の方が倒れると救急車を呼ばなければならない時が有る

田舎町の高齢化社会 このカフェは年に数回 救急車が訪れる

新年も明け 寒さ残る昨日 老夫婦が来店した 海老フライランチと日替わりランチを食べて 食後にカプチーノを飲む 洒落た夫婦だった
会計の時に事件は起こった 老夫婦の旦那がうずくまり倒れた
動かない旦那 焦りを隠せない婦人 心配そうに見守る女子スタッフ そして怪訝な顔をしたマスターは
「年寄り来たら これが有るから嫌なんよな」と 下衆発言をしながら救急車を呼んだ

そんな時 一人の男が立ち上がった それは常連客の西岡さんだ
アイロンパーマに薄茶色の眼鏡をかけた風体の悪いタクシードライバーだ
彼は倒れた老人を介抱する為に立ち上がったヒーロー ではなくて関西で言う「いっちょかみ」 物事に首を突っ込みたいだけの男

西岡さんはマスターを指差し吠えた
「なにをボーっと突っ立つとんや!介抱せんかい!人工呼吸しろ!
ええっ 人工呼吸とな 倒れた老人は心肺停止状態なのか
そんな事は窓ぎわの席から立って吠えている西岡さんにわかるわけがない アイパー西岡さんの脳ミソはビー玉くらいなので介抱イコール人工呼吸なのだろう

「年明けからジジイとキスは無理や!救急車呼んだからそれでいいやろ」
マスターが吠えた かと思ったが西岡さんの極道じみた風貌に威圧され トーンが尻すぼみになった  
出会い系で出会ったクリーチャーにも平気でディープキス出来るマスターでも老人とのMOUTH To MOUTHは無理らしい

「お前!人工呼吸とキスは違うやろ!人の命なんと思っとるんや!
人命を引き合いに西岡さんは吠え続ける デミグラスソースをオムライスにかけながら 生死を語るなら お前が介抱すれば良いと僕は思った
「キスも人工呼吸も何も ジジイとは無理ですよ」
西岡さんに威圧されマスターの発言は敬語になっていた
人工呼吸とキスのせめぎ合い アホな正義感と唇の貞操の言い争いの最中 救急車が到着し旦那は病院へと搬送されていった
わめき散らしたチンピラドライバーはスッキリとした顔で店を出て「あと少しいわれてたらボコボコにしてた」とマスターの負け惜しみのセリフが厨房に聞こえる

店内で体調が悪くなり ヘルパーさんに介抱される利用者の方や救急車で運ばれた老人の方は 後日 来店して「お騒がせしました あの後 体調が戻りました」や「すいませんでした 無事に快気しました」などの報告してくれる

でも報告の無い方もいる 無事に回復してるかもしれないし 高齢者なのでそのまま天国へ行かれたのかもしれない

もし天に召され 天国旅行に旅立った方がいるならば 最終の昼餐が穢れとエロスで満たされた僕の手料理だと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだ

まぁ 僕は地獄旅行でしょうな