2015年4月10日金曜日

グローバルスタンダード


僕がいた 銀髪にして薔薇のピアスに銀色のカラーコンタクトの僕。
全身アルマーニの友人と田舎の居酒屋で呑んでいた 僕が若かりし時の事。
僕はカウンターに座りタコの造りを食べながら アルマーニ君の黒すぎる乳首についての悩みを上の空で聞いていた
そんな話 親身になって聞けるかよ 「深夜ショッピングの汚れが凄く落ちる洗剤みたいなの塗ったらピンクになるんちゃうかなぁ」
酔っぱらってる僕にはそれくらいの助言しかできない。多分ピンクになるだろう。
アルマーニ君が下の方も真っ黒だ とカミングアウトした時に背後から声がした。
「ヴィアンやんか久しぶり」
東北地方の民芸品みたいな顔した女性が立っていた Y子だ。
友人の友人 繋がりの薄いポジション  スルーしようかな しかし僕は紳士だ 挨拶は返さないと
「久々やなぁ 元気にしとった?」無難な返し。
灰色のスーツで腕を組 顎を少し斜めに上げ 「最近 英会話始めたんよ」得意気にY子は言った。
白人 民芸品  そしてアジア人 英会話グループで呑みに来たらしい。
アジアの女は少し驚いた顔で「メキシコ?メキシコの人?」カタコトで僕にたずねた。
僕の顔は濃い海外の人に間違えられた事も有る  中東はよく言われるが南米まで 言われるとは。だが僕は生粋の日本人 テキーラとサボテンのイメージは初めてだ。
「違うよ日本人やで 君は何人?韓国人?」アジアの女に聞き返した すると 発狂 激怒 金切り声  異国の言葉でまくし立てる。
怒るアジア女 なだめるY子 唖然とするヴィアン  グラマーな白人 その胸元を凝視するアルマーニ君。
プチ修羅場だ 何故修羅場なったかさえわからない  アジア女はY子にテーブル席に連れていかれた。
戻ってきたY子が説明を始めた 発狂アジア女の怒りの理由を,,,,,,
国籍を間違えられた 中国人なのに韓国人と。
国籍を間違えられても怒らないのは日本人位で 他の国の人達は怒るらしい 「海外の人と接する時は気をつけようね」ニッコリとY子は言った。
はぁ?腑に落ちない 最初に中国女が僕の事をメキシコと間違えたのではないか? メキシコ人ときいたのではないか?
なら僕も海外の人との接し方に従おう中国女にも気を付けさせてあげなければならない。
ハートマン軍曹のように優しく教えてあげよう 僕は紳士だから。
軍曹気分で中国女の所に向かおうと腰を上げたとき
「ファック!」今度は白人が怒りだした 罵られるアルマーニ君。
怒る白人 なだめるY子 ヴィアンマン軍曹 なおも凝視し続けるアルマーニ君。
プチ修羅場その2開戦 そして白人もまたY子にテーブル席に連れていかれた。
女の子でもファックって言うんだなぁ 初めて生で聞いたなと思っていると Y子が戻ってきた。
「アルマーニ君 あの子にセクハラしたやろ!」
それは怒る 僕でもわかる 触りたくなるのもわかる 同意なくおっぱいを触ったら怒られるのもわかる。
「セクハラなんかしてないぞ」
アルマーニ君の眼は力強い 潔白を訴えている。
「嘘ついたらアカンで!アメリカってそういうの厳しいんやから!」今度はY子が怒りだす 僕はなだめない タケシ・ヴィアンは動かない。
「指でつついただけや」
アルマーニ君は言った。アルマーニ君の眼は光を失っていない つついただけならオッケー 揉んでないからセーフ そう思っている顔だった。

海外の人は国籍を間違えられたら怒る 指でつついてもセクシャルハラスメントになる。
僕は経験し知識を得た しかし賢くなった気はしなかった。

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